大衆演劇用語集
さ行
・桜遠見(さくらどおみ)
桜の林を描いた遠見。
・桟敷席(さじきせき)
劇場によって異なるが、基本的には客席上手前方にある畳敷きの特別席。良いところでは足元が掘りごたつ式になっていて足が伸ばせる。もちろん一般席より割高で、300円~500円程の追加料金が必要となる。
・座長(ざちょう)
大衆演劇の幕内にとびこんだ者なら、一度はなりたいと夢見るのが座長である。たとえ十数名の一座であっても、一国一城の主。長たる者の気苦労がつきまとおうとも、大看板をはる魅力は、何にもまして大きいようだ。だが、実力と人気を兼ね備えているからといって、必ずしも座長になれるとは限らない。まず統率力。莫大な資金が要求され、心身ともにタフネスでなければつとまらない。一座を支える最大のスターとして大車輪で舞台に立ちながら、毎日かわるプログラムの脚本、演出、殺陣、舞踊の振付、音楽の選曲をこなすのである。さらに多くの座長がそうだが、太夫元(総責任者)を兼ねると、巡業先の決定、給料の支払いなど、運営の全てをやりくりすることになる。芸が達者なだけの“役者バカ”では、現在の大衆演劇の座長はつとまらないし、なっても長くは一座を維持できない。
・枝折り戸(しおりど)
木や竹を編んで作った戸。三吉では腰高の枝折り戸を竹柵と併せて庭囲いに用いている。
・地絣(じがすり)
あまり使われないが、舞台に敷きつめる布の総称。一般に地絣といえば、灰、土、黒色などで地面を表すのに用いる。雪の場では白い雪布、海や川の場などでは水色の浪布を用いる。
・七三(しちさん)
花道の、本舞台から3分、揚幕から7分の位置をいう。ここで見得を切る事が多い。
・十手持ち(じってもち)
同心や岡引き、目明などの捕吏の俗称。
・褥(しとね)
3尺四方の綿入りの座布団。色は赤や紫。祝宴場の新婦新郎あるいは、武家の身分の高い者が用いる。
・島帰り(しまがえり)
島流しの刑期を終えて帰ってきた人のこと。
・島流し(しまながし)
刑罰。島送りともいう。島、とは佐渡ヶ島、八丈島、鬼界島など
・島抜け(しまぬけ)
島流しにされた島から不正な手段で抜け出すこと。
・下手(しもて)
客席から舞台に向かって左手。西側ともいう。
・砂切(しゃぎり)
笛、鉦、太鼓によるお囃子。
・尺(しゃく)
長さの単位。「度量衡」参照。
・尺高(しゃくだか)
山台等の高さを表す語。高さ1尺。
・朱(しゅ)
通貨の単位。「貨幣」参照。
・宿場女郎(しゅくばじょろう)
宿場町で旅人を相手に商売する女郎。各式のある遊郭と違ってそれほどの美人はいなかったようで、宿場女郎、田舎女郎といえば悪口の部類である。
・升(しょう)
容積の単位。「度量衡」参照。
・常打ち小屋
平成四年現在、全国の常打ち小屋は、東京二、神奈川二、大阪5、兵庫三、岡山一、広島二、愛媛一、福岡三、熊本一の計二十館である。もっとも長い歴史を有するのが、昭和五年開館の三吉演芸場で、昭和五十年以降に十四館が閉館している。劇団数は百十だから、八割強がヘルスセンターや健康ランドで公演することになるが、役者達は本心では通称“ハコ打ち”、常打ち小屋での興行を強く望んでいる。温泉のついでに観劇するヘルスセンターなどと異なり、芸一本での真剣勝負は、彼らを奮い立たせるし、またファンからの祝儀も格段と多くなるのだ。しかも実際、ハコ打ちの多い一座の若手は、急速に腕をあげる。収容人員は平均2百名で、舞台整備は必ずしも万全とは言いがたいが、旅役者にとっては檜舞台ということになる。常打ち小屋の増減は、とりも直さず、大衆演劇界の消長のバロメーターtといえるようだ。
・床几(しょうぎ)
大道具。高さ1尺5寸、奥行き1尺、幅4尺ほどの木製の腰掛けのこと。床木ともいう。
・上敷(じょうしき)
大道具。一般に「うわしき」と呼ばれるもの。い草を編んで縁を付けたもの。畳を表すときに、舞台に敷く。畳敷とも書く。
・定式幕(じょうしきまく)
緞帳のすぐ後ろの引幕。黒、柿色、萌葱色の3色縦縞。多くの劇場では、下手から上手に開け、上手から下手に閉めるようになっている。人によっては歌舞伎幕とも呼び、永谷園(笑)と呼ぶ人もいる。
・定式幕が開く時の柝
劇団によってまちまちだが、主に3通り。留め柝に対して予備柝を打つ場合チョンチョン、で開ける。幕開けの柝に対して予備柝を打つ場合チョンチョン、チョンで開ける。予備柝がない場合チョン、で開ける。
・証文(しょうもん)
小道具。半紙に書かれた証文。劇中で使われるのは、女郎屋が娘を買ったときの身請け証文、金貸しが金を貸したときの借用証文の二種が主。
・序幕(じょまく)
芝居の最初の場。最初の幕ではない。
・女郎(じょろう)
遊客に色を売る女。遊女。
・女郎屋(じょろうや)
女郎をかかえておいて、客に遊興させる店。
・白洲(しらす)
奉行所において、訴訟を裁断し、罪人を取り調べるところ。
・仁義(じんぎ)を切る
やくざ同士の初対面の挨拶。「おひけぇなすって~」
・身代(しんだい)
全財産のこと。
・心張棒(しんばりぼう)
木戸口などが開かないように押さえておくつっかい棒。
・捨床几(すてしょうぎ)
大道具。茶店などの店先に置いてある床几のこと。行楽地などの捨床几には赤毛氈を掛けて用いる。
・寸(すん)
長さの単位。「度量衡」参照。
・女衒(ぜげん)
女を遊女屋に売る事を業としている人。
・世話(せわ)
庶民的なこと。ただし舞台では庶民の家を指す。
・銭(せん)
通貨の単位。「貨幣」参照。
・線香(せんこう)
線香代の略。女郎や芸妓を囲う代金。また、線香を焚く、線香を付けるといえば、女郎や芸妓を囲うこと。もともと、線香が燃え尽きる時間を単位に課金していたところから。
・先生(せんせい)
劇団において、演技や舞踊の指導をするベテランの役者を指す。多くは先代座長である。ついでに言えば、先代座長のことを先代、と呼ぶことはあまりない。身内では先生、外では芸名で呼ぶ。
・袖(そで)
客席から見えない舞台の上手下手、あるいはその空間をいう。
・袖幕(そでまく)
袖に吊る黒幕。客席から袖の中が見えないようにする為に吊る。舞台の奥行き次第で枚数は増減する。
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- ページの一部を、「旧 三吉演芸場HP」より引用
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- ページの一部を、「三吉演芸場だより」に特別寄稿された大衆演劇評論家、橋本正樹さんの文章より引用
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