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大衆演劇用語集


な行


・中足(なかあし)

山台の高さを表す語。高さ2尺1寸。


・中入り(なかいり)

二幕芝居の幕間の休憩。仲入りともいう。


・中日(なかび)

一ヶ月公演なら十五日目、半月公演なら七日目。公演の折り返しとなるので、様々な企画が用意される。


・波遠見(なみどおみ)

海の描かれた遠見。手前に浜の描かれたものと描かれていないものがある。海遠見ともいう。


・浪布(なみぬの)

水色の地絣。川や海の場で用いる。


・西(にし)

客席から舞台に向かって左手。下手側のこと。


・二重(にじゅう)

二重屋台や山台など、高さがあり、役者がその上で演ずる大道具全般を指す。舞台の中にもう一つ舞台があるように見えるので二重と言う。


・二重~(にじゅう~)

二重舞台の場面。二重座敷、二重侠客、二重世話など。


・二重舞台(にじゅうぶたい)

二重を組んで行う舞台。対して平舞台。


・二重屋台(にじゅうやたい)

大道具。舞台上で一段高くなった1間×2間ほどの屋台。床面の高さは通常常足の1.4尺で、役者の出入りには白碌を置く。四方に障子や襖をはめることができるようになっていて、ここに木製のパネルに様々な図柄を描いた「はめもの」をはめて用いる。はめものは、侠客なら縁起棚、世話なら箪笥に壁、商屋なら違い棚、書斎なら床の間、と使い分ける。座敷や奉行所、武家屋敷ならそれぞれにあった襖を使う。


・二の柝(にのき)

各場の最後、定式幕が閉まるときに1回チョン、と打つ。終幕では緞帳が下りるので二の柝は無くきざみとなる。留め柝とは逆にこの柝で芝居は終わることになり、照明も同時におちる。


・二枚折り(にまいおり)

3尺四方の襖を蝶番で2枚繋いだもの。寝所の隠し等に用いる。


・年季(ねんき)

奉公人を雇う約束の年限。年季明けといえば、約束の年限が終わったこという。


・野面(のづら)

田園風景を描いた遠見。街道筋の場や、農家の場で使われる。


・幟(のぼり)

劇団名や役者の名の入った幟。後援者や贔屓から贈られたもので、公演先の劇場の表に掲げる。


・乗り込み

旅役者に何が一番つらいかと聞いたら、即座に乗り込み(移動)と百人が百人、そう答える。巡業に明け暮れる彼らにとって、乗り込みは宿命に違いないが、重労働でありすぎる。ざっと、こんなふうなのだ。千秋楽の舞台がはねるや、座長の陣頭指揮で舞台化粧のまま荷造りにかかる。荷物の内訳は、かつら、鏡台、タンスや、刀、槍、まといの小道具、大道具、照明器材、音響器材、テレビ、冷蔵庫、洗濯機に炊事用具一式などだが、約四割は衣装が占める。これら大小様々な荷物を背負って大型トラックに積み込む。想像以上のしんどさで、三往復する頃には息がきれる。ましてや雨の日など泣くに泣けない。そして次の公演場所へ荷物を運び、整理を全て終えるのが明け方。役者が最も大切にする初日を、こうして迎えざるを得ないのも、旅役者ゆえの宿命なのだろう。


ページの一部を、「旧 三吉演芸場HP」より引用
ページの一部を、「三吉演芸場だより」に特別寄稿された大衆演劇評論家、橋本正樹さんの文章より引用
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